みどころ

※会場により展示作品が異なる場合がございます。

こぐまちゃん、しろくまちゃん誕生

半世紀にわたり世代を超えて読み継がれている「こぐまちゃんえほん」の魅力、秘密とは?「日本の子どもがはじめて出会う絵本を作りたい」という思いのもと1970年に誕生した「こぐまちゃんえほん」シリーズ。作画を担当した若山に加え、児童文学作家・歌人の森久保仙太郎(もりひさし)、児童劇作家の和田義臣、そしてこぐま社創業者で編集者の佐藤英和が関わり、4人の合議制で制作されました。

『こぐまちゃんおはよう』(1970年、こぐま社)より リトグラフ/紙、「こぐまちゃんえほん」下絵 1970年 水彩・鉛筆/紙
『こぐまちゃんのみずあそび』(1971年、こぐま社)より リトグラフ/紙、『しろくまちゃんのほっとけーき』(1972年、こぐま社)より リトグラフ/紙
『しろくまちゃんのほっとけーき』(1972年、こぐま社)より リトグラフ/紙、こぐま社10周年記念贈答用リトグラフ 1976年 リトグラフ/紙
『しろくまちゃんのほっとけーき』(1972年、こぐま社)より リトグラフ/紙、『しろくまちゃんのほっとけーき』(こぐま社)より 2019年、リトグラフ ※こぐまちゃんえほんが2020年に50周年を迎えるにあたり、こぐま社が版画工房に依頼し制作したもの。
  • 『こぐまちゃんおはよう』
    (1970年、こぐま社)より リトグラフ/紙

  • 「こぐまちゃんえほん」下絵
    1970年 水彩・鉛筆/紙

  • 『こぐまちゃんのみずあそび』
    (1971年、こぐま社)より リトグラフ/紙

  • 『しろくまちゃんのほっとけーき』
    (1972年、こぐま社)より リトグラフ/紙

  • 『しろくまちゃんのほっとけーき』
    (1972年、こぐま社)より リトグラフ/紙

  • こぐま社10周年記念贈答用リトグラフ
    1976年、リトグラフ/紙

  • 『しろくまちゃんのほっとけーき』
    (1972年、こぐま社)より リトグラフ/紙

  • 『しろくまちゃんのほっとけーき』
    (こぐま社)より 2019年、リトグラフ/紙
    ※こぐまちゃんえほんが2020年に50周年を迎えるにあたり、こぐま社が版画工房に依頼し制作したもの。

いずれも、こぐま社蔵

いずれも、こぐま社蔵

こぐまちゃん新聞

紙芝居からの出発 こぐま社との出会いまで

若山の絵本作家としての仕事は、じつは紙芝居からはじまりました。若山が絵を手掛けた最初の紙芝居作品が『クリスマスおめでとう』でした。その後、1967年にはじめて「絵本」の制作に携わります。子ども向けテレビ番組の「友の会」会員向けに企画された「ロンパールームのほん」です。そこに収められた『りぼんをつけた おたまじゃくし』と、翌年発表された若山が文と絵をてがけた初の絵本『きつねやまのよめいり』の淡い色彩をご覧ください。それらの作風は「こぐまちゃんえほん」とは大きく異なります。

紙芝居『クリスマスおめでとう』(高橋五山 作・1957年、童心社)ラベル原画、水彩・鉛筆/紙、童心社蔵
『りぼんをつけた おたまじゃくし』(わだよしおみ 文・1967年、野村トーイ 編集・製作=こぐま社)より 水彩・インク・色鉛筆・オイルパステル/紙、個人蔵、『きつねやまのよめいり』(1978年改訂新版、※初版は1968年、こぐま社)より リトグラフ/紙、こぐま社蔵
  • 紙芝居『クリスマスおめでとう』
    (高橋五山 作・1957年、童心社)ラベル原画、水彩・鉛筆/紙、童心社蔵

  • 『りぼんをつけた おたまじゃくし』
    (わだよしおみ 文・1967年、野村トーイ 編集・製作=こぐま社)より 水彩・インク・色鉛筆・オイルパステル/紙、個人蔵

  • 『きつねやまのよめいり』
    (1978年改訂新版、※初版は1968年、こぐま社)より リトグラフ/紙、こぐま社蔵

絵を読む絵本「純絵本」をめざして

まだ文字を読むことができない小さな子どもたちが絵本のページを開くとき――その目は、文字ではなく「絵」から物語を読み取ります。絵本作家として若山がめざしてきたのは、言葉が主となるのではなく、絵の力でお話を伝えることができる絵本でした。若山はこれを「純絵本」と呼びました。1970年代から80年代にかけ、若山が文と絵の両方を手がけた創作絵本の数々をご紹介します。

『ぼく みてたんだ』(武市八十雄 案・1970年、至光社)より オイルパステル・水彩/紙、個人蔵、『おばけのどろんどろん』(1980年、ポプラ社)より<br>水彩/紙、個人蔵
  • 『ぼく みてたんだ』
    (武市八十雄 案・1970年、至光社)より オイルパステル・水彩/紙、個人蔵

  • 『おばけのどろんどろん』
    (1980年、ポプラ社)より 水彩/紙、個人蔵

ひろがる わかやまけんの世界

若山は、児童文学者、劇作家、詩人などとともに、たくさんの作品を制作しています。『てぶくろをかいに』などの名作の絵本、口から口へと語り継がれた民話の絵本、詩集など多岐にわたりますが、詩情あふれる淡い色彩の水彩画、シンプルな線描など、それぞれの文章が持つ独自の世界に合わせて生み出された作品からは、若山の幅広い表現や世界観を垣間見ることができるでしょう。

『ちびっこ ちびおに』(あまんきみこ 文・1974年、偕成社)より 水彩・鉛筆/紙、個人蔵、『ごんぎつね』(新美南吉 著・1978年、ポプラ社)より 水彩・鉛筆/紙、個人蔵
『たっちゃんのながぐつ』(森比左志、わだよしおみ、わかやまけん 作・1976年、こぐま社)より 鉛筆・水彩/紙、こぐま社蔵、『たっちゃんのながぐつ』刷本(部分) 2021年、印刷物、こぐま社蔵
『あかべこのおはなし』(わだよしおみ 文・1980年、こぐま社)より リトグラフ/紙、こぐま社蔵、『子そだてゆうれい』(桜井信夫 文・1984年、ほるぷ出版)より 水彩・パステル/紙、個人蔵
  • 『ちびっこ ちびおに』
    (あまんきみこ 文・1974年、偕成社)より 水彩・鉛筆/紙、個人蔵

  • 『ごんぎつね』
    (新美南吉 著・1978年、ポプラ社)より 水彩・鉛筆/紙、個人蔵

  • 『たっちゃんのながぐつ』
    (森比左志、わだよしおみ、わかやまけん 作・1976年、こぐま社)より 鉛筆・水彩/紙、こぐま社蔵

  • 『たっちゃんのながぐつ』
    刷本(部分) 2021年、印刷物、こぐま社蔵

  • 『あかべこのおはなし』
    (わだよしおみ 文・1980年、こぐま社)より リトグラフ/紙、こぐま社蔵

  • 『子そだてゆうれい』
    (桜井信夫 文・1984年、ほるぷ出版)より 水彩・パステル/紙、個人蔵

1点で物語る

1953年に創刊し、現在も全国社会福祉協議会出版部より発行が続いている雑誌『保育の友』。子どもの発達段階に応じた保育の内容や、地域性豊かな保育のカリキュラムなどを紹介するこの雑誌の表紙絵を、若山は1982年の4月から1992年の3月までの約10年間にわたって描きました。このなかで若山は、技法や描き方などさまざまに工夫して、「絵が物語る」、一枚の作品世界を形成しています。

『保育の友』(1982年8月号)表紙原画 水彩/紙、個人蔵、『保育の友』(1986年9月号)表紙原画 水彩/紙、個人蔵、『保育の友』(1990年12月号)表紙原画 水彩・色鉛筆・鉛筆/紙、個人蔵
  • 『保育の友』(1982年8月号)
    表紙原画 水彩/紙、個人蔵

  • 『保育の友』(1986年9月号)
    表紙原画 水彩/紙、個人蔵

  • 『保育の友』(1990年12月号)
    表紙原画 水彩・色鉛筆・鉛筆/紙、個人蔵

略歴

わかやまけん(若山 憲)

1930年、岐阜県岐阜市に生まれる。地元でデザインの学校に通い、グラフィックデザインの仕事を経て、20代前半に上京。教科書や紙芝居の挿絵などをてがける。その後、絵本の創作活動に入り、詩的な画風で独特の絵本の世界を築きあげた。2015年没。

 「詩人や思想家や文学者のような発想を、シナリオライターや建築家のように計算し、演出家やデザイナーのように構成し、画家やイラストレーターのように描き、詩人のことばとデザイナーの感覚で絵本にまとめるということを一人でやれるような絵本作家にぼくはなりたい」

わかやまけん(若山 憲)撮影:田中亜人